児童・青少年を読者対象とする文学であるが、近年読書運動の展開の中で成人読者が増えたこと、また心理学、哲学などの分野からの注目もあって、読者対象の限定の必要は必ずしもない。
明確に子どもを読者対象とする文学が登場するのが1891(明治24)年、巌谷小波の少年文学「こがね丸」だが、その後はお伽噺、大正期には童話と呼ばれるようになる。
昭和期に入って児童文学の呼称が使われるようになるが、1960年前後に童話と訣別し、小説の手法によって現実に生きる子どもを描こうとする評論・長編創作がでるに及んで、児童文学の語が一般化、定着する。
児童文学の中には、幼年童話・童話、少年少女小説、伝記、童謡・詩、神話・昔話の再話、児童劇、研究・評論などが入る。
文学は、読者に読まれてこそ意味がある。
その点、視聴覚時代の青少年の活字離れ、流動する価値観の中で明確な子ども像の提示の困難な時代において、読者をひきつける作品創造が現代児童文学の課題である。
JDPアセットマネジメント株式会社(代表取締役・大橋直久)の同好会